
最終レースが終わった後、人混みが捌けるのを待ってスタンド席でぼ〜っとしていた時のこと。突然号令がかかり、芝直しをする人達が一斉にコース脇に散った。『な、何ヤ?』と周りを見回すと4コーナーあたりに厩務員さんに引かれたお馬さんが1頭。ブリンカーを着けていて鞍上にはヘルメットを被った騎手さん。そして調教用のゼッケン…
よく見れば仕舞われていたはずのゲートが出ていて係員さんが数人スタンばっていた。『こ、これはもしやウワサの…』
ゲート試験である。通常デビュー前に終えている試験だが実戦でゲート入りに問題があった場合ペナルティとして再試験を受けさせれられる。以前『居残り』のゲート試験は馬にとって屈辱的なことだと某騎手さまが言ってたことを思い出し、雨のせいもあって何だかとても切なくなった。多分それは偶然そこに居合わせた人も同じだったのだろう『がんばれ!』と声をかける人がいて、傘をさしつつ…数人でじっと見守っていた。
しんとした競馬場にファンファーレが鳴り(!)不機嫌ながらも何とかゲートに入りして数秒後ガッシャッとゲートが開いた。勢いよく飛び出したまま軽く1周
『OKナンかな?』と思っていたら再びゲートに入れられ今度は『我慢』テスト。5秒10秒と時間が経つにつれ明らかに焦れはじめたお馬さんに『ぴしゃり』と平手の騎手さま…試験に合格しなければ競走馬としてやっていけないわけで、それは想いの込もったモノだったけれど…激しく後ろ蹴りするお馬さんはとうとう後ろ扉から出されてしまった。帰りがけにこちら側から『どうやった?』と聞かれ小さく笑いながら腕でバツを作り帰って行った厩務員さんと…たった1頭でターフを走る馬が、今日1日のどのレースより印象的だったのです。